日本MIA研究会の設立を心からお祝い申し上げます。又、至らない私がお祝いの言葉を述べさせていただくことになり、真に光栄に存じます。
矯正治療において考慮すべき最も大切な要素の1つが固定源のコントロールだと思います。特に上下顎前突と叢生が著しい東洋人の場合、固定源の喪失 (Anchorage loss) の全く無い絶対的な固定源 (Absolute anchorage) が必要な症例が極めて多いと思われます。
作用、反作用の法則上、口腔内で得られる相反固定では、反作用の全く無い絶対的な固定源を確保することは不可能でした。そのため、今までは固定源を補強するために顎外固定装置を利用してきました。
しかし、顎外固定装置を利用した固定源の補強は患者の協力が必須であり、又、協力が良い患者であっても24時間継続して顎外固定装置を使用することはできないため、固定源の喪失が全く起こらないように治療することはほとんど不可能だと思われます。
そのため、このような絶対的な固定源を得るために、補綴用インプラントを口腔内固定源として使用することが試みされてきました。しかし、既存の補綴用インプラントは高価であるだけでなく、矯正治療に効果的に使用するには容積が大きすぎて制約が多かったと言えます。
そのため、容積が大きい既存の補綴用インプラントの代わりに、直径が小さい外科用の micro screw を矯正治療用の固定源に使い始めました。しかし、外科用の micro screw は screw head に矯正用 element を使用することが困難で、ligature wire を screw 頚部に利用して連結部位を作り使用しなければならない等、不便な所が多かったと思われます。
そのため、最近になり矯正用弾性体を容易に使用することのできる矯正用マイクロインプラントが開発され始めました。しかし、矯正用マイクロインプラントはまだまだ解決しなければならない多くの問題点を持っています。本研究会の設立は、矯正用マイクロインプラントの問題点を解決するのに大きく寄与されることと期待しております。
今後、矯正治療の新しい1つのトレンドとなる矯正用マイクロインプラントの開発に、私達が共に努力することを望みながら、本研究会の設立に大きく寄与された高橋先生をはじめ多くの理事の先生方の健闘を祈りつつ祝辞にかえさせていただきます。